『苻璘碑(ふりんひ)』は、柳公権が六十一歳の頃に記した、成熟期の勢いを示す楷書の名作です。正式には「義成軍節度使苻璘碑」と呼ばれます。柳体特有の鋭利な筆致と、内側に力を凝縮させた厳格な構成が際立っており、後の『玄秘塔碑』へと繋がる様式美が遺憾なく発揮されています。力強い「柳骨」の中に優雅な気品が漂う本作は、唐代楷書の美学を体現する一品として、書道学習において重要な規範と仰がれています。