『魏謨先廟碑(ぎぼせんびょうひ)』は、柳公権が七十五歳の時に書いた晩年の代表作です。長年の研鑽を経て完成された「柳体」の粋が凝縮されており、洗練された風格を放っています。鋭い「柳骨」を保ちつつ、晩年特有の厚みと力強い落ち着きを兼ね備えているのが特徴です。厳格な構成と優雅な気品が調和した本作は、楷書の理想的な規範として高く評価され、柳体美学の到達点の一つとして今なお大切にされています。