柳公権が四十七歳の時に記した『金剛経』は、彼の書風の原点とも言える初期の傑作です。後に「柳体」として完成される、骨格の際立つ鋭い線と厳格な構成がすでに確立されています。敦煌で発見された唐代の肉筆(真跡)として世界的に有名で、石碑にはない繊細な筆運びを直接感じられるのが大きな魅力です。気品ある鋭利な美しさは、楷書の理想的な規範として、今もなお多くの学習者に親しまれています。